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本当はステンレスってサビやすい?!ステンレスの正しい使い方

サビにくい(stain-less)がそのまま語源となっているステンレスが、実は普通鋼(ふつうこう)よりもサビやすいことがあるってご存知ですか?

ステンレスはクロムやニッケルが含まれた鉄素材のことで、鉄の加工性を落とす代わりに耐久性が高いオーステナイト系ステンレス(SUS304など)や、一定の加工性をキープする代わりに耐食性の劣るフェライト系ステンレス(SUS430)などが一般に使われています。

ステンレスは、空気中の成分と酸化反応を起こしてサビやすい鉄を守る働きを持った不働態被膜と呼ばれる、ニッケルやクロムを含んだ被膜を表面にを形成するため、防触性が高い(サビにくい)素材となっています。

サビにくいステンレスの弱点は◯◯にアリ!

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しかしながら、サビにくいステンレスと言っても、決定的な弱点もあります。実はそれが海水なのです。

ステンレスがサビにくいのは表面に形成される被膜のおかげなのですが、実はこの被膜は、フッ素や塩素などの電気陰性度の高い元素があると、孔食(金属に発生する局部腐食)を発生させやすくなるという特徴があります。

海水中には大量の塩素イオン(Cl-)がありますから、ステンレスはこの孔食が発生しやすくなるために、サビるスピードがとても速くなってしまうのです。特に表面にキズのついた部分やステンレスの結合部からはサビが侵蝕しやすくなります。

一見すると、ステンレスの方が被膜がある分だけ、普通鋼よりもサビるスピードが遅くなりそうですが、普通鋼では素材の全面が全体的に腐食して行くのに対し、ステンレスでは被膜の薄い部分から孔食が局所的に発生するため、素材の劣化が速くなります。

ステンレスのサビにくさはあくまでも空気中での特性なので、どんな環境でも「サビにくい」と考えてしまうと、思わぬ事故の元となってしまうので注意しましょう。

海水にさらされる環境で長期間使用したい場合は、フッ素樹脂コーティングなどの防サビ対策を施すか、チタンやスーパーステンレスなどを選択するのがオススメです。